raffineの日記

Twitterで書けない長い文章を書いてみたいとふと思ったためにアカウントを取ってみた

「商業主義の犬」とはなんだったのか。

2006年1月20日。ぼくが当時mixiの友人限定公開だった日記で何気なく使った「商業主義の犬」という言葉がなぜか当時のAKB48界隈を駆け巡り(笑)、2週間ほど後にはトガブロにまで言及される始末となりました。

当時のmixiに書いたものを(一部割愛してますが)ほぼ全文コメント欄も含めて再記しておきます。

発端は、「桜の花びらたち」インディーズCDの発売週に、大がかりな「握手会のみ」の発売記念イベントの実施が発表されたこと。しかも、1箇所あたりわずか30分(笑)。メンバーは当時の20名のフルメンバーではなく、5つに別れて実施したそうですので、実際のイベントでも勢揃いした数カ所を除けば1箇所あたり数名しか来なかったということです。

今のAKB48は支店も取り混ぜてほとんどすべてのメンバーが登場し、握手会だけで東京ビッグサイトや幕張メッセなどを借り、まるまる1日かけて行うのですから、今の48グループを想起して話を進めるとだいぶニュアンスが違ってしまいます。そのへんはお含みの上お読みください。

  

それと、なにぶん友達にしか公開していない文章だったもので、言葉遣いが多少荒っぽい点はご容赦いただきたいと思います。

 最初の1週目ひどいな。2分割で済むのかな。3分割か? 

 

発売日なんてぶっちゃけ平日の夕方だから参加しないコも出るだろうし、どのみち30分じゃ、手売りして握手して終わりだろ。多分ヤマギワなんかはそうなんだろう。全員揃わないところは歌もなさそうだし、見る価値があるのは劇場と渋ツタだけのようだな。 

 

がっつくのが趣味な人はいいだろうけど、それってAKB48の趣旨と違う気がする。 

売ろうとする努力をすることは重要だし、顔を売るための店頭キャンペーンも大事だと思うけど、それは1店30分の駆け足(しかも時間的にどっか重なってる)でやることじゃないでしょ。 

右側の全国キャンペーンと同じことをなぜ重要な発売日と1st Weekendにやらないのか。しっかり歌も歌ってくればいい。1曲だって構わない。 

ヲタに買えるだけ買わせればいいのか。良質のパフォーマンスを見せて、それによって作品と彼女たちを気に入って買ってもらうためじゃなかったのか。 

それは秋葉原ではもうやらなくていいということなのか。1000円とはいえ劇場に入らなければ見られないものを秋葉原の店頭で試しに見てもらうという発想はなかったのか。それともそんなことはお台場で存分にやったからもういいということなのか。 

ホームグラウンドだからこそ、やらなければいけないことがあるのではないのか。 

所詮オタの慰み者だからいいのか。 

 

興醒め。 

なんか一気に行く気失せた。 

みなさんがんばってください。 

もう知らね。 

でも一言言っておく。 

こんなのにダマされる奴は馬鹿だ。

 

昔の「店頭挨拶回り」って、広く告知はしなかったんだよ。店頭に「○○さん来店!△月×日の■時ごろ」って貼ってあるだけで。 

歌手が歌いもしないのに来るだけで買ってくれるなんて思ってなかったからかもしれないな。 

アドホックの帝都無線とかよくアイドルのコが来てたけど、一切告知なかったよ。ポスターにサインだけして店員さんと写真撮ったらさっさと帰っちゃったし。 

告知してやってたのは大々的にステージ組んでちゃんと歌うときだけ。

 

もうどうでもいいけど、出演者当日発表で20箇所同時とかやりゃよかったんだよ(投げやり)。

っていうかヲタにかけもちさせるのが目的だろ? 

買わせるのが目的だろ? 

世の中カネだよなやっぱり。もういいよ、100枚でも200枚でも1000枚でも好きなだけ買いなさいよ。

ほっといてもどうせ1000枚2000枚買うでしょ。 

所詮飼い犬だから。 

そうじゃない人に何を見せる気なのか、そもそも見せる気がないのか。そこが問題。 

 

何も見せないで「見たかったら劇場へ来い」は「お前ら何様のつもり?」と言われてもしょうがないと思いますが。

俺はいまどき試聴もできないでCD売るのはバカだと思ってるし、映画には予告編があるのは当たり前だと思ってるし、食い物は試食して買うものだと思ってます。 

そういう闇鍋みたいな売り方は嫌いですね。 

グラビアアイドルってたいがいそういう売り方になってますが、そういうのがアイドル産業の粗悪化の原因だと思いますけど。 

俺はサンシャインやラクーアで通りがかりの人にパフォーマンスで訴えかけるのが当たり前だと思うんですけど、みなさん密室の秘密主義がお好みのようですね。

だから、後半の地方廻り(東京もあるけど)はいいと思うんですよ。ドッグヤードとかステーションスクエアとか、とっても。 

 

じゃあなんでそれを発売週にやらないの? 

秋葉原にそういうオープンスペースがないのはわかるけど、サンシャインとかなんとかなりそうじゃないですか。 

スタートダッシュはヲタがCDを2000枚3000枚買い占めることで成立ですか。そうですか。そして通りすがりの人は「なんだあれ?」で終了ですか。そうですか。 

全箇所で買ったら○○とかスタンプカード出そうだな、なんか。がんばって3000枚でも4000枚でも買ってくださいね。商業主義の犬のみなさん。

以上が当時の拙い作文です。

つまりぼくは当時何が言いたかったのか。以下の2つに集約できます。

  1. 歌やダンスといったパフォーマンスを「売り」にしているグループが、それを見せずに握手だけしてCDを売ることだけ考えるのは本末転倒ではないのか。
  2. 知名度ゼロの新人が一般の通りすがりの人にアピールすることなくヲタだけ相手にしていていいのか。

今のAKB48を考えると、状況が違う点がいくつかあります。

  • 当時のAKB48はTV地上波レギュラー番組はゼロ。TBSの深夜ドラマにチョイ役で時々数名が出演するだけ。
  • 歌番組への出演もほとんど無しで、今とは雲泥の差。

今であれば、AKB48が新曲を発売するともなれば事前にPVが各レギュラー番組で流れ、歌番組にも呼ばれ、発売前に新曲を披露する機会など何度もあります。ですから今は「パフォーマンスを見せることなく」という条件は最初から当てはまらないことになるのですが、当時はCSの音楽専門チャンネルでPVが流れるとかその程度のものに加えてあと1つか2つ何か出たっけかな?くらいの扱いにすぎませんでした。

当時のAKB劇場は未だに満員になったことはありませんでした。AKBファンの皆さんは今でこそ劇場公演の抽選に当たった外れたと一喜一憂しているのでしょうが、当時は「行けば入れる」状況でした。ほどなく2月を過ぎた頃には連日満員になるのですが。

そしてもう一つ、当時は今の「劇場盤」に相当するシステムも、「全国握手会」も「個別握手会」も「総選挙」も存在しませんでした。

つまり、今はびこっている何十枚何百枚とCDを買うという行為は存在しません。いや、これも1枚買ったら1回握手できる握手会ですので握手したいから大量に購入というのは7年前も今も一緒なのですが、なにぶん1箇所あたり30分しかありませんでしたので(笑)、ひとりのヲタが買える枚数など限られています。

引用文で3000枚だの4000枚だの言っているのはヲタ全体の購入合計数であり、ジョーク含みに多少盛った揶揄でありまして、「大量に買う奴がいるんじゃないか、いてもおかしくない、全部合わせりゃ数千枚になるんじゃねーか」という程度のものでありました。実際問題、全員合わせれば数千枚売ったのかもしれないけど、ひとりで200枚300枚とかはいなかったんじゃないかな…行ってないので真相はわかりませんが。

そして、このテキストを書いてから数日後には「ジャケット違いの特別限定版(今で言う劇場盤に相当)全メンバー個別ジャケット20枚セット」などというものが売り出されましたので、タイミングも相まってぼくがそちらのことを「商業主義」と言ったのだと誤解されてしまいました。引用文を書いたのはその厄介なブツの発売が発表される前のことですので、当時書いた日記であわてて釈明したのは今でも覚えています。

 

さてさて、では当時からぼくが忌み嫌ってきた「商業主義」あるいはその「商業主義」に踊らされる「商業主義の犬」は現在も存在しているのかどうか。

もう言葉自体がひとりあるきしていますので、ぼくが言及することにあまり意味は無いのですが、2013年の今、AKB系列をはじめ、メジャーからマイナーあるいは地下まで含めてアイドル全般において、「新人でろくにテレビにも出られない人」が「歌いもせずに握手会オンリー」で「通りすがりの人にはいったい何が行われているのかわかりゃしない」販促イベントを行うなどということはかなり少なくなっています。(無いわけではありません。新人ではないですが、スパガとかはクローズドの握手会だけって結構あるし…)

環境の変化も大きいものがあります。2013年の今でこそオープンスペースでCDの販促イベントが毎週のように行われていますが、当時は「秋葉原がアイドルの聖地」だった頃。石丸電気こそ健在でしたが、今おなじみの大規模ショッピングモール内のイベント会場はほとんど未完成。ららぽーとは豊洲も柏の葉も開店前ですし、ラゾーナ川崎もできておりません(笑)。引用文中にあるように、都心のオープンスペースイベント会場はサンシャインシティ噴水広場と後楽園ラクーアガーデンステージ、それに加え亀戸サンストリートあたりが定番だったでしょうか。石丸ソフトやヤマギワソフト(現アキバソフマップ1号店)など、「購入者のみが入れる」会場が主流でした。

 

改めて、「アイドルは知ってもらってなんぼ」ということで、「ヲタクだけを相手に握手だけしていれば売れる」という考えが広まらないことを願うばかりです。せめて歌っている姿をメディアを通じて見ることが出来るようにしてほしい。不幸にしてそれだけの知名度や実力が足りない人ならなおさら、「まだ知らない人」にアピールすべく積極的に歌を聴ける機会を作って欲しいものです。

もし、そういう姿勢が欠如しているのならば、2006年当時以上に「商業主義」との誹りを受けても致し方ないのではないかな、と考える次第であります。